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メルヘンヴェール I

MärchenVeil I

シーン9
  • ビジュアルステージ9
    『海神ネプトゥーヌスよ。私はあなたに会うために、ながい旅をしてきた。それというのも・・・・。』
    「フェリクスへの道をわしに問う為にか、王子よ。」
    『なぜそれを。』
    「わしは何もかもすべて知っておる。だが、おまえがここまでたどりつくとはのう。・・・・王子よ、こちらへ。」
    ネプトゥーヌスにまねかれて、玉座のうしろのうすぐらい部屋へはいると、そこには、大きな水がめがあった。
    「王子よ、これは時の水だ。わしは、おまえがわしの娘を助けてくれたと知った時、時の女神にたのんで、おまえの過去をこの水にうつし出した。」
    『なぜ、そのようなことを。』
    「わしは、大伸の命により、フェリクスより逃げ出すヴェールどもをとらえ罰さなければならぬ。わしにとって娘を助けてくれた者は、恩人だ。だが、それがフェリクスより逃げてきたヴェールとなれば話は別。情けをかけることは許されぬ。」
    『それで私の過去を・・・・。』
    「おまえは、魔法使いの手にかかって殺されたのだ。だが、魔法使いはおまえがヴェールとなってよみがえるということを知っておった。そこで、さらに呪いをかけ、おまえをフェリクスの外へと飛ばしたのだ。そうすれば、おまえがフェリクスに戻れるはずがないと思ったのだろう。あるいはわしの手によって罰を受け永久にフェリクスに帰ることはないとおもったのかもしれない。」
    『海の神よ、ひとつ聞きたい。』
    「なんだ。」
    『なぜ、フェリクスを出たヴェールは罰をうけなければならないのだ。』
    「ヴェールよ、女神ルアの名を聞いたことがあるか。」
    『・・・・いや。』
    「ルアは、フェリクスにあって、戦場で流された血をつぐなう女神だ。そしてヴェール族というのは、ルアのために存在する一族だ。もし、ヴェールがルアと、そして戦場で傷ついた者たちのためにつくすならば、いつの日か、ヴェールは再び人間となることができるのだ。」
    『というと、私はこのままでは人間に戻れない、と?』
    「それだけではない。ヴェールの一族には、厳しいおきてがある。よいか、ヴェールよ。おまえたちはたとえどのような時でも、他の者に血を流させてはならぬのだ。このおきてを犯したヴェールは、永遠に人間には帰れぬ。」
    『・・・・私は・・・・。』
    「おまえが旅を続けるために、どれだけ多くの者を傷つけ、あるいは殺したかは、わしも知っておる。」
    『私は、もう永遠に人間にはもどれぬのか。』
    「・・・・この海を渡れば、そこはもうフェリクス。おまえはフェリクスでは、ルアの目をのがれることはできぬ。永遠にルアのために働かねばならぬ。ヴェールには自由がないのだ。」
    『・・・・。』
    「それでも、おまえがフェリクスに戻りおのれの罪をつぐなうのならば、再び人間となることができるやもしれぬが。」
    『・・・・。』
    「だが、ヴェールよ。おまえはわしにとって恩人でもある。もし、おまえがフェリクスに帰らぬというのならば、ここに・・・・。」
    『・・・・。』
    「フェリクスでおまえを待っているのは、果てしなくつらいつぐないの日々だ。どちらを選ぶのもおまえ次第。」
    『ネプトゥーヌスよ。私は、いったい何のためにここまできたのか・・・・。自分ののろわしい運命を知るために?いや、そうではない。私はフェリクスに帰りたかったのだ。愛する姫の待つフェリクスへ・・・・。』
    『ヴェールよ。時はとり戻せぬ。もう昔には帰れぬぞ。』
    『ネプトゥーヌスよ、私にはもう失うものなど、何もないのだ。私は行く。この先、どのような運命が私を待っていようとも。』
    to be continued・・・
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